【日本ゲーム大賞】歴代大賞受賞作リストとともに、’96年CESA大賞『サクラ大戦』から2020年『あつまれ どうぶつの森』まで一気に振り返る!!
’96年(CESA大賞)から2020年までの大賞(最優秀賞)を一挙に公開
賞 | 賞名 | ゲームタイトル | メーカー | ハード |
CESA大賞ʼ96 | 作品賞 | サクラ大戦 | セガ・エンタープライゼス | SS |
CESA大賞ʼ97 | 大賞 | ファイナルファンタジーVII | スクウェア | PS |
第3回CESA大賞 | 大賞 | ゼルダの伝説 時のオカリナ | 任天堂 | N64 |
第4回日本ゲーム大賞 | 大賞 | どこでもいっしょ | ソニー・コンピュータエンタテインメント | PS |
第5回日本ゲーム大賞 | 大賞 | ファンタシースターオンライン | セガ | DC |
第6回CESA GAME AWARDS | 最優秀賞 | FINAL FANTASY X | スクウェア | PS2 |
第7回CESA GAME AWARDS | 最優秀賞 | 太鼓の達人 タタコンでドドンがドン FINAL FANTASY XI |
ナムコ スクウェア・エニックス |
PS2 PS2・PC |
第8回CESA GAME AWARDS | 最優秀賞 | MONSTER HUNTER | カプコン | PS2 |
第9回CESA GAME AWARDS | 最優秀賞 | ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 | スクウェア・エニックス | PS2 |
日本ゲーム大賞2006 | 大賞 | 東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング ファイナルファンタジー XII |
任天堂 スクウェア・エニックス |
DS/DS Lite PS2 |
日本ゲーム大賞2007 | 大賞 | Wii Sports モンスターハンターポータブル 2nd |
任天堂 カプコン |
Wii PSP |
日本ゲーム大賞2008 | 大賞 | Wii Fit モンスターハンターポータブル 2nd G |
任天堂 カプコン |
Wii PSP |
日本ゲーム大賞2009 | 大賞 | マリオカートWii METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS |
任天堂 コナミデジタルエンタテインメント |
Wii PS3 |
日本ゲーム大賞2010 | 大賞 | New スーパーマリオブラザーズ Wii | 任天堂 | Wii |
日本ゲーム大賞2011 | 大賞 | MONSTER HUNTER PORTABLE 3rd | カプコン | PSP |
日本ゲーム大賞2012 | 大賞 | GRAVITY DAZE/重力的眩暈: 上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動 |
ソニー・コンピュータエンタテインメント | PS Vita |
日本ゲーム大賞2013 | 大賞 | とびだせ どうぶつの森 | 任天堂 | 3DS |
日本ゲーム大賞2014 | 大賞 | モンスターハンター4 妖怪ウォッチ |
カプコン レベルファイブ |
3DS 3DS |
日本ゲーム大賞2015 | 大賞 | 妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打 | レベルファイブ | 3DS |
日本ゲーム大賞2016 | 大賞 | Splatoon(スプラトゥーン) | 任天堂 | Wii U |
日本ゲーム大賞2017 | 大賞 | ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド | 任天堂 | Nintendo Switch |
日本ゲーム大賞2018 | 大賞 | モンスターハンター:ワールド | カプコン | PS4・PC |
日本ゲーム大賞2019 | 大賞 | 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL | 任天堂 | Nintendo Switch |
日本ゲーム大賞2020 | 大賞 | あつまれ どうぶつの森 | 任天堂 | Nintendo Switch |
大賞受賞作に見える、ゲームの歴史の流れ
リストの一番上、’96年のCESA大賞の作品賞は『サクラ大戦』で、コンピューターグラフィックスや音楽の性能が上がり、よりエンタメの表現が豊かになっていく次世代機時代に、いち早く音楽・アニメーション・声優などの力を総合的に活かしていく、その後のゲームのあり方に大きな影響を与えた作品だ。しかも、ハードはセガ・サターンで、セガが広井王子氏というクリエイターの力を活かし、アーケード発ではない家庭用ゲームでヒットを生み出した作品だった。しかし翌年には、当時驚異的なCGの表現と、魅力的なキャラクターによって、贅沢に物語表現のレベルを引き上げたRPGの金字塔ととも言える『ファイナルファンタジーVII』が大賞を受賞。それ以降のPS時代の到来を予感させる受賞だ。
が、その翌年(’98年)にはニンテンドー64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が大賞を受賞。それ以降の、探索型の3Dアクション・アドベンチャーの礎を築いた作品だが、その19年後にふたたび、オープンワールドゲームの新たな地平を切り開いた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が、再び大賞を受賞していることは感慨深い。『ゼルダの伝説』はハードを代表する作品であるだけではなく、やはりゲーム史の流れでもエポックメイキングな作品だということが、よくわかる。
続いて、’99年には『どこでもいっしょ』が大賞を受賞しており、当時プレイステーションがカジュアル層にもゲームユーザーを広げていたことを思い起こさせる。ポケステって指が痛かったなあ、とかポケステってどこいっちゃったんだろう? と懐かしく感じる一方で『どこでもいっしょ』が、プレイヤー同士のコミュニケーション要素をゲームに取り込んでいたこと、また、いまだに愛され続けているキャラクターでもあるトロが疑似的なAIともいえる側面を持っていたことを考えると、革新的な要素を持ったゲームだったと言えそうだ。また、この事例が、携帯ゲーム機PSPへとつながる最初の一歩だったんじゃないだろうか。余談だが、当時技術力で、小さくするのが得意だったソニーは、ポケステを小さくしてしすぎてしまったんでは…という気がしなくもない。
その後、PS2の時代になると、『FINAL FANTASY X』『XI』『XII』が大賞を受賞しており、『FF』ブランドの強さを見せる一方、『XII』以降の受賞はなくなっていく。また、『XI』は家庭用ゲームとしては初の本格的MMOオンラインRPG(PS2)で、BB unitやネットワークアダプタを買って本体に取り付ける必要があった。ソニー陣営としても周辺機器をわざわざ出したわけだから、PS2のオンライン化が強く求められていたわけだ。『FFXI』の大賞は『FF』がいかに革新的な取り組みをしていたかを感じさせる一方、その2年前には、オンラインRPGの『ファンタシースターオンライン』(DC)が、大賞を受賞しており、またもやセガは時代の先を見ていて、そのことがゲームの歴史において重要な役割を果たし、業界内でも評価もされていたことがわかる。
その後の時代には、4人で楽しむことができるマルチプレイをより突き詰めた『モンスターハンター』シリーズが大ヒットしていくのだが、人と人がつながって遊ぶをことをよりダイナミックに、より濃密に取り込みつつ、短時間でも終われたり、一人でも遊べる要素もしっかり入れるなど、ローカルのマルチプレイを突き詰めた結果だと言えそうだ。とくに、1作目の『MONSTER HUNTER』はオンラインゲームということで、大ヒットというわけではなかったが、『FF XI』の翌年にしっかり大賞に輝いていて、オンラインで、あるいは人と人がどうつながって遊べるのかという試みを、CESAもきちんと評価している、と言えそうだ。(そう考えると、2020年の大賞も納得がいく)
一方で、PSの次の時代を担ったPS2は、『FFVII』が切り開いた、濃厚なゲーム体験を、さらにハードによる進化によってより本格的で、”大作ゲーム”を量産させていく(すごく大雑把に言ってます)。そんな流れの中で、PS2を代表する”大作”としての代表は、『FF』『ドラクエ』『モンスターハンター』というシリーズ作になっていく。そこでカジュアル層の取り込みが後手に回り、固定ファン優先という目線が徐々に強くなっていった部分があったと、リストを見ていると感じてしまう。
が、他方で、2006年『脳を鍛える大人のDSトレーニング』で任天堂は、それまでゲームをしてこなかった年齢層的に高い、年配の世代まで取り込むことに成功し、ニンテンドーDSは見事に大ブームとなる。また、それ以降はWiiにおいても『Wii Sports』、『Wii Fit』が大賞を受賞し、テレビの前で、あるいはテレビを使って、何をさせるかをユーザーや市場のニーズに合わせて柔軟に生み出していく、”ゲーム人口の拡大”を掲げたハードと、作品作りが、ゲームという枠を超えて、世の中にも支持されていく。
それと並行しながら、任天堂は『ゼルダの伝説』や『スプラトゥーン』、『大乱闘スマッシュブラザーズ』といったタイトルでも大ヒットを飛ばし、長年のゲームファンにも、若い世代のゲーマーにも、小学生にも支持されるゲームを生み出している点で驚異的だ。もちろん、そうでないと真の意味でのゲーム人口の拡大は果たせない。それを着実に実行し続けていることが、2006年以降、大賞受賞作品を毎年のように生み出していることからも、よくわかる。
その文脈から見ると『あつまれ どうぶつの森』が2020年の大賞に輝いたことは、当然中の当然だったかもしれない。コロナ禍において、また世界中の人たちがさまざまな形でつながり、コミュニケーションを取り、ライトにもヘビィにも遊べる、懐が深いソフトだから、だ。しかも、オンライン、オフラインを問わず、人と人とがつながることで生み出される楽しさ、おもしろさを拡大し、より広げている作品でもある。
ところで、少し話を戻すと、任天堂も含め、ゲームがシリーズ化していくと、ファンの側も固定化され、どうしても世代交代がしづらく、若年層を取り込む力が弱くなってしまう。そんな中でアニメや音楽、またダンスなども使ってIPの魅力を高め、若年層へターゲットをしぼって成功したのが、『妖怪ウォッチ』だった。『妖怪ウォッチ』も、少子化が進み、また獲得コストが高くつく、新規の若年層をターゲットにした作品だが、業界全体が半ば若年層への取り組みを諦めてしまったかのような状況でのチャレンジだったからこそ、一人勝ちした、ともいえるだろう。そのことは、ゲーム業界全体に大きな刺激を与え、さらには小学生向けに作った、小学生が楽しめるソフトこそが不足していることを浮き彫りにした。
話が全く変わってしまうが、第7回CESA GAME AWARDから、2014年の日本ゲーム大賞までの間、2作品が大賞を分け合う、ということが増えていくが、これも異なるハードがそれぞれ独自の市場を獲得していたことの表れ、と考えられる。ゲーム市場が成熟し、多様なありかたが徐々に受け入れられ、一強が市場を支配するような、一人勝ちの市場ではなくなっていったことへの対応とみるべきだろう。1本に絞ることが難しくなったということは、ゲーム市場にとってはむしろよいことであり、当然の結果だったのかもしれない。だが、2014年に『モンスターハンター4』と『妖怪ウォッチ』が同じ3DSフォーマットで2タイトルが受賞して以降、また1本だけが選ばれるようになっていることは、興味深いともいえる。
最後に、このリストを見て思うのは、『ポケモン』が受賞していない! ということなのだが、おそらくベストセールス賞や、そのほかの賞を受賞しているから… なのかな、と思う。今回(2020)も、ベストセールス賞とグローバル賞日本部門、さらに年間作品優秀賞を獲得しているので、じつは3冠を制覇しているのだ。なので、意外に大賞だけは取り損なってしまった、ということなのかもしれない。
過去の日本ゲーム大賞はこちらで調べられます!
・日本ゲーム大賞 過去のゲーム大賞
https://awards.cesa.or.jp/2018/past/index.html
・日本ゲーム大賞 公式サイト
https://awards.cesa.or.jp/
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