元ナムコのMr.ドットマンこと小野浩さんのお別れ会が銀座で開催されたので、行ってきました…

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 11月27日、28日の2日間、東京・銀座のチーパズカフェにて、ナムコの名作の数々のドット絵を多数手がけたゲーム開発者、故・小野浩さんのお別れの会が開かれました。自分も生前お世話になった一人として、最後のお別れに行ってきました。

 Mr.ドットマン(Mr.Dotman)こと小野浩さんは、1979年にナムコに入社され、ナムコの初期の名作の数々のタイトルの開発に関わり、とくに「ギャラガ」「ゼビウス」の回転する敵キャラや自機のドット絵には当時驚嘆した方も多く、「ドットの神様」あるいは「ドットの魔術師」と呼ばれるほど、ゲーム業界では知らぬ人がいないほど、有名な方でした。

 2016年からはドットアート&プロダクトブランド「Mr.ドットマン」を展開し、ゲーム制作にとどまらない作品作りやコラボ、さらにはドット絵のワークショップなども行っていました。が、2021年難病の自己免疫性肝炎の疑いで入院し、10月16日64歳の若さでこの世を去りました。

 じつは、このコロナ禍で、年配の方々にはなかなかお会いするのが憚られる中、自分は海外の出版社の書籍の制作を手伝っていた関係で、昨年リモートで取材をさせていただく機会がありました。また、数年前にもニコニコ動画の番組等で、ご一緒させていただりしました。

 その時もとても気さくで、でも、ドット絵の打ち方の話になるととても真剣にその考え方や苦労話を語ってくださいました。ほんとに1ドットを打つのにどれだけの試行錯誤や工夫、研究があったのだろう、と思える話を何度もしてくださいました。

小野氏を応援するクラウドファンディングも実施していました

 そんな小野さんが難病で入院されたということで、小野さんの再起を願い、チームドットマンの方々がクラウドファンディングを実施。

 すると、クラウドファンディングは、あっという間に目標額を達成。小野氏を応援する人々はとても大勢いらっしゃいました。

 なので、そのわずか数日後にツイッターで小野氏の死去を知らされた時は、自分も本当に驚きました…。言葉が出ませんでした。

 集まった資金は難病の支援にも寄付されることになり、また11月に入ってから、小野さんとの「お別れの会」のお知らせが届きました。

お別れ会のお知らせ(チームドットマン)

 …という案内を見ていたので、自分も、お別れ会2日目の11月28日(日)に銀座に向かいました。

最後のお別れ銀座チーパズカフェに行ってきました

 銀座に行くのも久しぶりでした。コロナ禍がひと段落したこともあり、多くの方々が歩行者天国に来ていました。少し、銀座にも活気が戻ってきつつあるのかな…、そんな感じでした。真っ青な、きれいな晴天がビルの間に広がっていました。

 4丁目付近から汐留方面に向かうと、わりとすぐに銀座7丁目のチーパズカフェに到着しました。

・チーパズカフェ
https://cheepas-cafe.com/

チーパズカフェの場所はこちら

Toy Gallery & Café チーパズカフェ

住所  :東京都中央区銀座7-12-15 MYS銀座1・2F
TEL   :03-3248-6690
Mail   : cheepas.cafe.ginza@gmail.com
営業時間:10:00~19:00
定休日 :日曜日・祝日

 お別れ会の会場は、1Fではなく2Fでした。階段で2Fへ上がりました。

チーパズカフェ 2F お別れ会の会場へ

 階段を上がってすぐに小野さんの肖像画が…。よく見ると小野さんが関わった様々な作品からできているモザイクアートです。

 その左側には「ご香典、御供花、御供物は謹んでご辞退申し上げます」と書かれたパネルがあり、そこに「ご厚意のせめてものお返しとして、ささやかではございますが、こちらのステッカー一口500円にてお渡ししております。」という案内もありました。

 右側には、「HOW TO PLAY」と書かれたパネルがあり、「献タイルにつきまして」という説明があり、生前小野氏がこだわった16×16(=256ドット)のタイルを弔問客が1つづつ置いていき、ドット絵を完成させるという趣向になっているようです。

 そこから一歩奥に進み、受付で名前を書き、ステッカーを分けていただきました。

 献タイルの列に並び、順番を待ちます。

 こちらで、小野さんの遺影に向かってから礼をして、手を合わせて、献タイルをさせていただきました。献タイルのモチーフは、遺作となった「ヘルプマーク」と「逆ヘルプマーク」です。

 その奥に進むと、小野さんにまつわる品々が並べられてありました。中には、ナムコ時代のかなり古い辞令があったりして、驚きました。ゲームファン、ナムコファンにとってもとても貴重なものです。

 小野氏が手掛けられた往年のトッド絵や、名画を再現したドット絵なども展示されていました。

 入口の付近の柱には、

 生前小野氏が愛用していた白衣も掛けられていました。もう一度、白衣に向かって心の中で言葉をかけて、会場を後にしました。

 多数のゲームで、そして、さらにはドット絵そのものとドット絵という表現に対する真摯な姿勢や愛情で、我々を楽しませてくれた、Mr.ドットマンこと小野浩さん。小野さんと、小野さんが我々に与えてくれたすべてのことに改めて感謝し、小野さんのご冥福をお祈りします。

多くの方々が最後のお別れに訪れました

 11月27日、28日には大勢の方々が小野さんとの最後のお別れに訪れ、ツイッターにも多数の投稿が見られました。

 2日間にわたって催されたお別れの会は、チームドットマンの方々や関係者の方々によって、無事に執り行われ、ツイッターでも順次報告がなされていました。

 その様子を見るにつけ、いかに小野さんが多くの人たちに愛され、尊敬されていたのかをまざまざと感じることとなりました。

 このようなお別れの会を企画し、最後のお別れの場を作っていただいたことに、この場にて改めて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

 また、お別れの会で弔問客が1ドットずつ置いていた献タイルのドット絵が、目地打ちをされて、保存されることも公表されました。

・Mr.ドットマン小野浩氏公式サイト
http://mr-dotman.com/

チーパズカフェ1Fにてコーヒーをいただきました(店内の様子など)

 自分は、2Fでお別れをさせていただいた後、すぐに帰るのはなんとなく、気が進まなかったので、1Fでコーヒーをいただいて、少し気持ちを整理してから帰ることにしました。

 店内には、昔のおもちゃのコレクションがたくさん! 

 古いブリキのおもちゃに心が癒されました。

 ちなみに、チーパズカフェの1Fと2Fをつなぐ階段の壁には、アーティストのサインが描かれていました。

 

献タイルのその後は…?

 後日、チームドットマンのスタッフの方々から、ツイッターで以下のような報告がありました。

タイル画アート連作
『逆ヘルプマーク/ヘルプマーク』
ドット絵原画:小野浩
制作:お別れの会参列者の皆様/チームドットマン
タイル協力:株式会社TChic
額縁制作/タイル貼り・目地打ち:箕輪俊之

 という内容のツイートがあり、目地打ちが無事に完了したとのことです。

 小野さんが打たれたドット絵に沿って、お別れ会にいらっしゃったみなさんが置かれたタイルが、目地打ちもされて額縁に収まり、ずっと残るような形になったことが、お別れの会のひとつの区切りになったようです。

 とても素敵なお別れ会のイベントを準備し、用意してくださったチームドットマンのスタッフの方々、関係者の方々にもう1度感謝の言葉を述べて、記事を締めくくりたいと思います。

 そして、Mr.ドットマン、小野浩さんのご冥福をお祈り申し上げます。