【ハナペン野球教室】ボークって何? どんな種類があるの? 押さえておきたい「ボーク」のポイント!

2022-06-04ハナペン野球教室,ルール,審判

 今回は、少年野球ではよくあるピッチャーの「ボーク」(Balk:不正投球)について、しっかりお伝えしたいと思います。また、審判をやる際にも(とくに球審の場合は)ちゃんと覚えておかないといけないし、また子供たちにピッチングを教える際にもここをちゃんと教えないと、ぶっちゃけ、試合になりません。

 ということで、野球の中でも、とても重要なポイントになりますが、じつは「よくわからない」っていうお父さんも多いのでは? と思うので、しっかり覚えていただければ、と思います。

そもそもボークって何? どういうもの?

 ピッチャーが行う反則行為で、ランナーがいる時に、打者や走者にとって不利な状況にしたり、ランナーをだまそうとする行為を取り締まる目的のものが多いです。たとえば、ランナーのスタートを遅らせて盗塁をしづらくしたり、逆にホームに投げると見せかけて牽制球を投げにボークを審判が認めた場合は、各ランナーがそれぞれ1つ進塁が認められます。また球審以外の塁審も宣告できます(牽制球の時などは、塁審じゃないとわかりにくいボークもあります)。

 ボークの種類には、大きく分けると、

  • 投球動作に関するもの
  • 牽制球に関するもの
  • ボールの扱いや試合の進行を妨げるもの

 があります。

ボークは全部で13項目あります!(大きくわけると

  1. 投球動作を中断した(サインを見てから一連の動作で投げなければいけない)
  2. (ランナーがいる時に)セットポジションで静止しないで投球した
  3. ピッチャーがセットポジションで2回静止した(静止したあと動いてまた静止する)
  4. プレートから足を外す際に前に外す(外す場合はプレートの後ろ側に外さなくてはいけない)
  5. セット時に(グローブを)体の前で静止しなかった(頭の上、体の横など)
    ※(団体や大会によって)セットする位置を試合を通して同じ場所で静止する、という規定がある場合もある(高校野球など)
  6. プレートを踏まずに投球をした
  7. ボールを持たずにマウンド上で投球に関連する動作をした(プレートをまたぐ、触れるなど=隠し玉の防止)
  8. 打者に正対しないで投球した(打者が構えていないのに投げる=「クイックピッチ」)
  9. 投球の途中でボールを落とす(ボールがファールラインを越えた場合は「ボール」)
  10. キャッチャーボックス内にいない捕手に投げた(両足ともボックス内)
  11. 牽制球を投げる際に、プレートに触れた状態で、その塁に向かってまっすぐ足を踏み出さずに牽制球を投げた
  12. (プレートを外さずに)1塁、3塁に偽投した(2塁はOK)
  13. (プレートを外さずに)走者のいない塁に送球した

 というのがボークになります。

※10.は、直接的にはキャッチャーの動作・行為によるものですが、キャッチャーボックス内にいない捕手に投球をする、という不正投球ということです。

少年野球でよくある”ボークあるある”

 少年野球でよくあるのが、「(セットポジションの動作を)静止しないで投げる」というもの、でしょう。まだ慣れてない子はとくについついマウンドで緊張して、どんどん投げようとしてしまい、この違反をすることが多いです。

 とくに、ファールの後などはとくにランナーが不利になるので、審判をしている場合、自分は一度は注意をして、「一度しっかり体の前で止めないとボークになるよ」と指導するようにしています。(また試合後などに監督さんやコーチに話をすることもあります)

 ただし、何秒以上止めないとダメ、というようなルールはなく、「一瞬でも止まっていれば」はボークではありません。

 それから、もうひとつ、プロ野球でもよくあるのが、「サインの2度見」(セットに入りかけてやめる)ですね。これもボークになるので、注意しましょう。

 さらに、アマチュア野球や少年野球では、見過ごされがちなのが、左投手の1塁への牽制球のボークです。プレートを踏んだまま(外さずに)牽制球を投げる場合は、牽制球を投げる塁にまっすぐに(直接)足を出さないといけません。また、踏み出す足がプレートの後ろの縁を越えた場合、本塁への投球とみなされるので、1塁に牽制球は投げられません。この状態から牽制球を投げた場合は即「ボーク」となります。

 もちろん、右投手でもプレートを外さない場合は、1塁方向にしっかり足を踏み出さないとボークです。

 また、左投手が足を高く上げてから、1塁方向に踏み出さずに1塁に牽制球を投げてもボークです。

 あと、左投手に限らず、うまいピッチャーがこっそりやるのが、軸足を一瞬だけほんの少し動かしてから、牽制球を投げて、走者を刺すというプレイ。これは審判がしっかり見ていないと、ランナーは見事に引っかかってしまうので、よく注意してください。

アマチュア野球でも2段モーションは緩和されました!(2020年)

 以前はボークを取られていた「2段モーション」ですが、プロ野球でもルールが緩和されて、違反にならなくなりました。(2段モーションを反則としていた項目は、英語の原文のルールにはなく、日本独自のルールで、それを世界基準に近づけて、プロ野球では2018年に緩和されました。それを踏まえて、アマチュアも打者への影響などの検証を行い、2020年にようやく「2段モーション」による投球がボークではなくなりました。)

 この変更を知らずに、「2段モーション」はとにかくボークとする不勉強な方も中にはいますので、気をつけてください。(とくに、長年野球に関わってきた人ほど、最近の審判講習等には行かず、知らないということもありえます。もちろん真面目な方は毎年の変更点をチェックされていますが…)

 とはいえ、打者のタイミングを外す目的で行うのは本来とは違うので、その場合はボークを取ってもよいのでは、とも個人的には思います。

(※この記事がわかりやすいかも…)

・[野球]2020年度改正規則の解説<2>投球動作およびボークルール(BBMスポーツ)
https://www.bbm-japan.com/article/detail/701

 が、投球と思われる動作をしてから、牽制球を投げるのは、ボークになるので、2段モーションから牽制球を投げると、ボークになる可能性があります。こちらも注意してください。