【オヤジでもわかるゲームな話(アーカイブ64)】 小島秀夫監督最新作!『DEATH STRANDING』はかつてないゲーム体験ができる、超革新的なSF大作ゲームだ!(2019年11月)

2020-04-04オヤジでもわかるゲームな話,ゲームレジェンド,ゲーム会社,映画

一人の男の孤独な作業が分断された人々や世界をつなげていく!

※この記事は、東京中日スポーツさんにて連載していた「オヤジでもわかるゲームな話」の原稿を元に加筆や修正を行い、再掲載するものです。

 ソニー・インタラクティブエンタイテインメント(以下SIE)は、2019年11月8日プレイステーション4用ゲームソフト『DEATH STRANDING』を発売した。

 この『DEATH STRANDING』(以下『デススト』)は、『ポリスノーツ』、『SNATCHER』や『メタルギアソリッド』(MGS))シリーズなど数々の名作を生みだした、世界的な人気を誇るゲームデザイナー小島秀夫氏(小島監督)が率いるコジマプロダクションが開発を担当した新作ゲームだ。

 小島監督は、2015年にKONAMIを退社し、新会社コジマプロダクションを設立。『デススト』は、そのコジマプロダクションが初めて開発する作品として、2016年のE3(ロサンゼルスで開催される世界最大規模のゲームイベント)で発表され、以来世界中のゲ-ムファンやゲームメディアが注目をしていた作品だ。

 特殊な体質を持つ主人公サム・ブリッジズ(アメリカ人俳優のノーマン・リーダスが演じている)が、“デス・ストランディング”という大事件(現象)によって分断されてしまった世界で、たった一人で荷物や物資を運び、交通や通信を復旧させ、都市や人々をつなげていく、という内容。人物の造形や表情のリアルさ、地面や岩、川などの地形・地表のリアルさはかつてゲームの世界で表現されたことがないレベルのクオリティーだ。また、荷物を背中に積みすぎるとよろけたり、バランスをとらないと倒れたりするし、川で体勢を崩されると荷物も流されてしまうなど、ポーターとして荷物を背負って移動すること自体が、サバイバルであり、アドベンチャー的な体験そのものになっている。ジャンルとしてはアクションゲームだが、『デススト』がもたらすゲーム体験は、その他のゲームとは一線を画するほど、独特なものだ。

 たとえば、梯子(横に置けばにもなる)やロープを思い思いの場所に設置して、難所や急流、崖を越えたり、敵に襲われて失った荷物を取り返したり、時雨(タイム・フォール)という特殊な雨によって劣化してしまう荷物を守るために雨宿りをしたりしながら、目的地を目指して移動をしていく。従来であれば、イベントが起きる場所へキャラクターを動かす行為にすぎなかった3Dゲームにおける、ただの”移動”という行為がまさにゲームそのものになっている。移動そのものが3Dになり、物理的に処理されているため、苦労して超えた山の向こうに目的地の町が見えてきたりすると、純粋に喜びがこみ上げ、子供の時のような気持ちになって、思わず走りだしてしまったりする自分がいる(斜面だったりすると思わず転んで荷物をぶちまけたりするのだが、それくらい純粋にやっと見えてきた街が嬉しかったりするのだ!)。

 また、自分が設置した梯子やロープが、ほかのゲーム内の人々やこの『デススト』をプレイする世界中のプレイヤーから“いいね”がついて評価されたりもする。あるいは、やっとたどり着いた目的地の手前に、ほかのプレイヤーが“お疲れ様”というような看板を立ててねぎらってくれたりする。

 ゲーム内で、サムは人と人を結びつけ、都市と都市をつなぎ、カイラル通信網を復活させて、物資だけではなく、世界で何が起きているのかを共有し、世界をつなげていく。と同時に、遊んでいるプレイヤー同士もこの『デススト』の世界で、助けたり、教えたり、励ましたり…と、やさしく細やかにつながっていく…。

 一方で、この『デススト』の世界では、人間の遺体を焼却しないとBT(たとえるなら亡霊のようなもの)化し、対消滅という爆発が起き、都市が壊滅するなど、SF的な設定や科学的な謎にも満ちている。また、時雨が当たった場所は時間を進めてしまったり、この世とあの世をつなぐビーチという境界を使って通信を行うなど、人々の生や死などの概念もSF的な設定の中で扱われる。そのような世界観や設定は映画的かつ文学的に表現されているように、『デススト』の中には哲学的な問いかけも満ちている。一方、その世界の謎や人物たちの思惑が、ゲームを進行したり、ミッションをこなすモチベーションにもつながっていく。

 そのようなゲーム体験をしながら、(ゲーム的にはこなす必要があるのだが)敵を倒したり、他者に勝利することが真の目的ではなく、一見地味にも見えるような孤独な地道な作業が人々を救い、未来を作っていく…そのことこそが重要ではないのか? そんなことを考えたり、サムの孤独や苦労や勇気に共感したりしていく…。大げさに言えば “人間の尊厳”や“ゲームすることの意味” をプレイヤーが無意識のうちに考えているような、深みのあるゲームなのだ。が、一方で主人公サムの大・小の排出物がそのまま兵器になったり(!)、アメリカ人女優のリンゼイ・ワグナーが若い頃の姿で出演していたり…、温泉ではじつは混浴ができたり…(笑)、小島監督作品に登場する小型のロボットが登場したり…、というような小ネタもそこかしこに仕込んであり、まさに(真の意味で)、ゲームでしか体験できない、極上のエンターテイメントというべき作品に仕上がっている。だからこそ、人生経験が豊富で、ありきたりの作品には飽きているようなオヤジたちにこそおススメしたいゲームなのだ!

小島秀夫 監督とは?

コジマプロダクション代表。大の映画好きとしても知られ、ゲーム業界やファンからは「小島監督」と呼ばれている。主な作品に『メタルギア』、『スナッチャー』、『ポリスノーツ』などがある。’98年PSで発売された『メタルギアソリッド(MGS)』がシリーズ化され、世界中で大人気に。2015年末コジマプロダクションを設立し、『DEATH STRANDING』を開発した。先日ツイッターInstagramフォロワー数が最も多いゲームディレクターとしてギネス世界記録に認定された。

『DEATH STRANDING』の生みの親、小島監督。11月10日にtwitterとInstagramのフォロワー数がもっとも多いゲームディレクターとしてギネス世界記録に認定された。

物語を彩る登場人物たち

主人公のサム・ポーター・ブリッジズ。「伝説の配達人」で能力者。帰還者であり、特殊な体質を持ち、BTに対して耐性を持つ。俳優やモデル、写真家としても活躍するノーマン・リーダスが演じている。

アメリ。ブリジット大統領の意思を継ぎ、サムに自身の救出と各都市カイラル通信をつなげる仕事を依頼する。テロリストにアメリカ西海岸で幽閉されている。テレビ番組『バイオニック・ジェミー』の主演女優、リンゼイ・ワグナーが演じている。
レア・セドゥ演じる女性フラジャイル(右)。配送会社「フラジャイル・エクスプレス」のリーダーで能力者。自分のビーチを経緯して遠隔地へ瞬時に移動できる。
ママ―。能力者であり、ブリッジズのメカニック担当。マウンテン・ノットシティの代表者ロックネとは双子の姉妹。
マッツ・ミケルセンが演じる謎の男クリフ。主人公サムがBBを接続するたびに見ることになるフラッシュバックの映像の中に現れる。BBの父親だと思われる。
ブリッジズの長官、ダイハードマン。トミー・アール・ジェンキンスが演じる。日本語吹き替えは大塚昭夫。
ブリッジズのメンバーで、古生物学者のハートマン。21分ごとに心停止し3分後に蘇生するため、1日に60回死に60回生き返る男。モデルはニコラス・ウィンディング・レフン。

ゲーム画面を見ながら内容を紹介!

任意の場所で梯子やロープなどを設置して、山岳地帯を突破する。自分がかけた梯子やロープには”いいね”が付くことも…。
いくつもの山や川を踏破した先に視界が開け、目的地の都市が! 感動して思わず走り出してしまったり…(コケないように注意!)
ゲームがある程度進行すると乗り物にも乗れたり、橋などの施設を建設したり、道路を修復できたりするようになる。

移動中に温泉が見つかることも! 温泉には効果・効能があり、体力が回復できたりする。BBもうれしいそう。また、女性を運ぶ(連れていく)ミッション中などに立ち寄ると”混浴”も!
フィールド上で休憩をする(サムが仮眠をとる)と体力を回復することもできる。BBを抱えたまま眠るサムはイクメン!
プライベートルームで休憩したり、シャワーを浴びたり、食料を補給したりすることができる。
プレイベートルームでBBをあやすサム。

フィールド上には、配達症候群という状態になってしまい、他者の荷物を奪おうとするミュールという組織が存在する。彼らから荷物を奪われたり、取り返すことが必要になることもある。
空中に浮遊している人型のものが時雨が降ると現れるBT。BTに見つからないように息を止めて移動せよ! また、BT(ゲイザー)からのびている紐状の「臍帯」を切断すれば消滅させることもできる。
BTにハデスに引きづり込まれると、大型のキャッチャーが出演。キャッチャーに取り込まれると対消滅が起き、大爆発が発生する。ハデスから脱出するか、キャッチャーをサムの血液や体液などから作った対BT兵器で攻撃する必要がある。

『DEATH STRANDING』商品概要
作品名: DEATH STRANDING(デス・ストランディング)
ジャンル:アクション
対応機種:PlayStationⓇ4、PlayStationⓇ4 Pro
発売日 :発売中
価格  :■Blu-ray Disc版    
      通常版 希望小売価格6900円+税    
      スペシャルエディション 希望小売価格7900円+税    
      コレクターズエディション 希望小売価格20900円+税
      ※スペシャルエディションとコレクターズエディションは数量限定商品。    
     ■ダウンロード版    
      通常版 販売価格7590円(税込)    
      デジタルデラックスエディション 販売価格9790円(税込)
CERO  :D(17才以上)
開発元 :株式会社コジマプロダクション
販売元 :株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
権利表記:©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.

©2019 Sony Interactive Entertainment Inc.
Created and Developed by KOJIMA PRODUCTIONS.